ユニバーサルデザインで円満なご近所付合い
2021年6月29日家の玄関が顔であるならば、エクステリアや外構はその家のもつ空気や雰囲気やにおいを表すといっても過言ではありません。そして、広くはその町全体の雰囲気を作り出します。家の造り同様に、その地域の特性が大変顕著にあらわれる部分でもあります。
エクステリアデザインの一つにユニバーサルデザインを活用した場所が増えつつあります。ユニバーサルデザインとは、体の障がいの有無に関わらず「より多くの人が利用できるようにデザインすること」という定義です。近年、ユニバーサルデザインが多様される背景には、高齢社会があげられます。
多くの高齢者が過ごしやすい空間造りが必要となり、段差をなくしてスロープにしたり、手すりを設けたりと、足腰が弱くなっても自力で歩ける動ける範囲で円滑に生活できるようになりました。車椅子利用のために、玄関までのアプローチを広くとることで、介助する人が動きやすくなります。間口が広くとられたり、だれでも入りやすい場所になったエクステリアは、より開かれた空間に変化しました。それに伴って、空間だけではなくて、ご近所との付き合いも円滑になるという人間関係にも変化をもたらします。家族程近くはないけれど、なんとなく気遣ってくれるご近所さんとのお付き合いは、高齢による不自由さと寂しさを緩和してくれる時があります。これらが、ユニバーサルデザインをエクステリアに取り入れるメリットです。
一方、デメリットとしては、過度のユニバーサルデザインは、人間の能力を失わせてしまう場合があります。例えば、段差を取り除くことは、階段を上り下りするための足の筋肉運動を衰えさせることにもつながる可能性があります。足が弱くなるということは、高齢になると転ぶリスクを高めます。私の祖母も、転んだことがきっかけで寝たきりになるという事故にあいました。高齢での骨折は骨がもろくなっていて、回復が難しいということがあります。ユニバーサルデザインを取り入れるには、その人に応じたタイミングがとても大切になることがうかがえます。